異国情緒漂う衣装をまとった人物が舞う、“舞楽”をモチーフにした棚です。
随所に細かい蒔絵の細工が見られる本作品は、昭和初期に製作いたしました。
舞楽は、平安時代に中国の唐やインドから伝来し、今なお宮中や寺社の儀式の際に演じられます。
華やかな人物の面や衣装を見ると「蘭陵王(らんりょうおう)」と呼ばれる代表的な曲目の様子であることがわかります。
鮮やかな衣装で軽く舞う姿を高蒔絵など様々な技法を使用して描き、棚の細部には衣装に合わせて雲紋が描かれた、粋で贅の限りを尽くした作品です。
「蘭陵王」のストーリー
古代中国の南北朝時代、斉の国に蘭陵王長恭という武勇才智に長けた王が、その優しく美形な顔を隠し、武勇をあらわすため、醜悪な仮面を被って周の軍と戦ったところ大勝を期した。
その勇ましい姿を舞曲にしたものであるといわれている。